2006 年 11 月 4 日 のアーカイブ

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道具学会名誉会長・栄久庵憲司さん

2006 年 11 月 4 日

PM5:00過ぎ、久々に母校のT学院の前を通り、「道具寺道具村建立縁起展」の
会場であるリビングデザインセンターOZONEに向かう。相変わらず道に迷ったが、
ふと気づくと目の前に新宿パークタワーが聳えていた。おや~、ここってコンラン
ショップが入ってるビルじゃん? もう何年も来てないなぁ。

そもそもこの展覧会はクライアントの方に教えて頂いた。こういう情報はとても
うれしく有り難いと思う。3Fのパークタワーホールでは、その他にも展覧会が
色々と行われており、私のココロはウキウキワクワク♪

道具学会の名誉会長でもある77歳の栄久庵(えくあん)憲司さんは、日本を代
表するインダストリアルデザイナーで、キッコーマンの醤油卓上瓶や秋田新幹
線こまち、成田エクスプレス等の工業デザインで知られた人だそうな。

会場は3つの部屋から構成され、まずは「俗(現代の道具世界曼荼羅)」、次に
「行(山篭修行と建立発願)」、最後に「聖(道具寺道具村構想)」となっている。

6メートルの正方形のガラスで作った道具曼荼羅の上に道具千手観音が安置さ
れていた。曼荼羅には48体の菩薩が散りばめられ、その菩薩はロボット、宇宙
探査衛星等の道具を持っている。色々な道具を手に持つ“道具千手観音”は、
「恐ろしい顔つきでも笑いすぎてもいけない。赤ちゃんの顔を参考にした」そうな。

栄久庵さんは人間が作ったモノを供養するためにも道具寺が必要で、寺を中心
にデザイン工房、道具大学、道具遊園地を配した道具村を作りたいという夢を
抱いていた。

道具村は道具寺を中心に「道具供養院」「道具探求院」「道具開発院」「道具
為楽院」の4つの領域から構成される。会場で栄久庵さんをお見かけしたが、
都会に下りて来た仙人といった風情だった。お話してみたかったなぁ。

それにしても、かつてここまでモノ作りに対して、哲学的叡智を持ち込んだ人
はいたんだろうか? やはりバックボーンが違うのだ。浄土宗の寺に生まれ
育った栄久庵さん自身、僧侶であり、郷里広島の被爆から10日後、廃墟に
立って人間世界の中の地獄の中に、「モノ達のうめき声を」を聞いた。あまり
に強烈な体験、これこそが原点だ。

モノにも心がある。魂がある。

私も心からそう思う。また私の場合、超不器用でモノが作れない事。そして
自分の作品というものが一切残らない仕事という点で、モノ作りに対しては
人一倍憧れが強いんだと思う。本当に素晴らしい展覧会であり、とても清ら
かな気分になれた。教えて下さったクライアントの方、本当にどうもありが
とうございます!

栄久庵さんが夢見てきた、人と道具の調和する理想郷“道具村”。道具千手
観音を中心に、人と道具が平等の世界を築く平和な空間。モノが作れない
私でも、その理念に心から共感する。道具村の完成予想図に、こんな美しい
言葉が添えられていた。

美によって、具〈そなえ〉は道を得て、道具となる
(When implements obtain the way with beauty, they become DOUGU)
20061104
♪さて、ここで問題です。このタイヤのような形をしたモノは、いったい何でしょう?

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