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人を食い殺す恐ろしい鬼の正体は、実は〇〇だった!!

2017 年 10 月 22 日

ずっと以前に読んで、忘れられない昔話がある。

その本のタイトルも全くわからないのだが、
私が覚えてるストーリーとしては、

ある村で、山に恐ろしい鬼が出て、
そこに踏み入る者を食い殺してしまう。

村人は山の恵みはもちろん、
薪さえも取りに行けず、
大変難儀していた。

村ではこの鬼退治に報奨金を出し、
全国から強者どもが挑んで来たが、
全ては帰らぬ人となった。

そんな途方に暮れていた時、こ
の村を通りかかったお坊さんが、

「皆さんがそこまでお困りならば、
私が行って参りましょう」と申し出た。

村人は「何の武器も持ってないお坊さん
が行ったら、たちまち食い殺されるだけから、
やめなさい!」と強く反対したが、

お坊さんはその反対を押し切って、
山に入って行った。

まもなく凄まじいうめき声が聞こえてきたが、
お坊さんは一歩も怯(ひる)む事なく、

「罪のない村人をなぜ、食い殺す?
なぜ、そんなに荒れ狂う?」と叫んだ。

そして「私は退治しに来た訳ではない。
お前がなぜ、そんな事をするのか、
教えてはくれまいか?」

すると唸り声が小さくなり、
やがて聞こえなくなった。

「まずはお前の話を聞こう。
その姿を現してくれないか」

お坊さんがその場に座ると、
ズシンズシンと大きな足音を響かせながら、
キバとツノの生えた恐ろしい鬼が現れた。

「おう、おう、よう来てくれた。
ささっ、こちらに座って、話を聞かせてくれ。
お前に名はあるのか?」


「俺の名は〇〇(←忘れたので、
仮名として太郎とする)だ」

お坊さん
「そうかそうか。それでは、太郎と呼ぼう。
 太郎はどこから来たのか?」


「麓の村だ」

お坊さん
「えっ、太郎は村人だったのか?」


「そうだ。
 子供の頃、貧しさゆえに山に捨てられた」

お坊さん
「それはあまりに不憫じゃ」


「たった一人、
 山の中で生き抜いていかなければならず、 
 親を恨んで怨んで、この村全体を呪い、

 いつか復讐してやるという執念だけで
 生きていたら、いつの間にか鬼となっていた」

お坊さんは涙を流しながら、

「それはあまりに辛かったのう。
苦しかったのう。
ずっと一人ぼっちで寂しかったのう」

鬼は積年の恨みつらみをお坊さんにぶちまけた後、
とてつもなく大きな声で泣きわめいた。

すると、ポロっと頭のツノが取れ、
口のキバも抜けた。

みるみるうちに恐ろしい鬼の姿から、
5歳ぐらいの男の子に変わったではないか。

「なんと、これが鬼の正体だったか!」

とお坊さんは思いっきり抱きしめた。

「太郎、一緒に村に帰ろう。
わしから全て話すから、お前は安心していい」

一晩中、帰らなかったお坊さんが小さい
子供を連れて、戻って来たので村人は
目を丸くした。

そして、事の顛末に驚愕して、
みんな太郎に心から詫びた。

そして村全体で、
太郎を育てる事となったとさ。
めでたしめでたし。

鬼退治に行った強者を北風とすれば、
このお坊さんは太陽そのもの。

彼の持つ最大の武器は「愛」

だから、目には見えなかった。

人は心を開いた相手の言葉しか聞かない。

人生の苦難に立たされた時に、
人の温かさや優しさによって救われた事で、

人間には結局、そういう目に見えない思いやりや、
愛というものこそが、

生きていく上で最も大事なものなんだと、
この昔話で痛感した。

気持ちの良い挨拶だったり、
笑顔だったり、ちょっとした親切だったり、

何気ない一言だったり、
思いやりを目に見える形にできたら、いいね。

来年の話をしなくても、鬼が笑うと思う(^-^)

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