ちょっとイイ話⑥

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芸人B&B島田洋七さんの、めちゃめちゃ明るいおばーちゃんが、彼に残した言葉が、

「優しさは、気づかれたらやめなさい」だった。小さい頃から、「人に優しくしなさい」って

言われてきたよね。困っている人がいたら助け、悲しんでいる人がいれば、一緒に

なって涙を流す。それが優しさだと教えられてきたよね。でも、そういう事が、いつしか

自己満足になってる事ってある。本当の優しさは、香水と同じ。ほのかに香るくらいがイイ。

わからないのが優しさなんだよね。思いがけないプレゼントをする事が優しさじゃなくて、

「お返しをしなきゃ」と思わせない事が、優しさのセンスなんだよね。気づかれない優しさ、

気づかないフリする優しさ。島田洋七さんが小学生の頃。運動会での楽しみは、家族で食べる

お弁当だが、彼はいつも一人だった。お弁当も、ただの梅ぼし弁当。一緒に食べる人がいない

ので、いつも一人教室で食べていた。ある時、お弁当を食べようとしていたら、教室に担任の

先生が入って来た。「オイ、先生ちょっとお腹が痛いから、お前の弁当と換えてくれないか?」

先生の弁当は豪華だ。食べた事もないウインナーも入っている。島田さんは「ラッキー!」だと

思った。遠慮せずに、思いっきり食べた。翌年の運動会。教室で一人食べようとしてたら、

ガラガラッと教室のドアが開いた。担任の先生だった。「オイ、先生ちょっとお腹が痛いから、

お前の弁当と換えてくれないか?」。島田さんは、またまた「ラッキー!」だと思った。

今度もまた、遠慮せずに思いっきり食べた。ある年から、担任の先生が代わった。女の先生

になった。「あーあ、今年の運動会は、もう先生は来ないだろうなぁ」。その年の運動会、一人

教室で食べようとしてると、ガラガラッ・・・ 今度は、新しいその女の先生が入って来た。

「先生、ちょっとお腹が痛いから、お弁当換えてくれる?」。島田さんは、不思議に思った。

家に帰って、大好きなおばーちゃんに言った。「なぁ、おばーちゃん。ウチの学校は、不思議

な事があるんや。運動会に限って、先生のお腹が痛くなる」。そこで、初めて先生の優しさを

知った。次の年、島田さんはどうしたんだろう? 多分、次の年も、その次の年も、先生の

お腹は痛くなるに違いない。同じように気づかないフリをして、先生のお弁当を食べてほしい

と思った。「気づかれない優しさ」が、本当の優しさならば、「気づかないフリ」する事も、

優しさなんだよね。

★優しさは、気づかれないようにしよう

★優しさに、時には気づかないフリをしよう

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