2003 年 12 月 24 日 のアーカイブ

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クリスマス・イブ

2003 年 12 月 24 日

あるペットショップの店頭に、「子犬セール中」の札がかけられました。

子犬と聞くと、子供はたいそう心をそそられるものです。しばらくすると

案の定、男の子が店に入って来ました。「おじさん、子犬っていくらするの?」

「そうだな。30ドルから50ドルってところだね」。男の子は、ポケットから

小銭を取り出して言いました。「ボク、2ドルと37セントしかないんだ。でも

見せてくれる?」。店のオーナーは思わず微笑むと、奥に向かってピーッと

口笛を吹きました。すると、毛がフカフカで丸々と太った子犬が5匹、店員の

後ろを転がるように出て来たのです。ところが1匹だけ、足をひきずりながら、

一生懸命ついて来る子犬がいるではありませんか。「おじさん、あの子犬は

どうしたの?」と男の子は聞きました。「獣医さんに見てもらったら、生まれ

つき足が悪くて、たぶん一生治らないって言われたんだよ」と店のオーナーは

答えました。ところが、それを聞いた男の子の顔が輝き始めたのです。「ボク、

この子犬がいい。この子犬をちょうだい!」「坊や、よした方がいいよ。そりゃ、

もし、どうしてもこの子犬がほしいって言うなら、タダであげるよ。どうせ売れる

訳ないから」と店のオーナーが言うと、男の子は怒ったように睨みつけました。

「タダでなんかいらないよ。おじさん、この犬のどこが他の犬と違うって言うの?

他の犬と同じ値段で買うよ。今2ドル37セント払って、残りは毎月50セントずつ

払うから」。その言葉をさえぎるように、店のオーナーは言いました。「だって、

この子犬は、普通の犬みたいに走ったり、ジャンプしたりできないから、坊やと

一緒に遊べないんだよ」。これを聞くと、男の子は黙って、ズボンの裾をまくり

上げました。ねじれたように曲がった左足には、大きな金属製のギプスがはめ

られていました。男の子はオーナーを見上げて、優しい声で言いました。「きっと

この子犬は、自分の気持ちがわかってくれる友達がほしいと思うんだ!」

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