2013 年 6 月 17 日 のアーカイブ

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あの日、僕の命も拾ってくれていたんだよ

2013 年 6 月 17 日

ある学校からの帰り道、マークの前を歩いていた少年がつまずいた。

抱えていた本、セーター、野球のバットとグローブ、
小型テープレコーダーが辺りに飛び散った。

マークは駆け寄って、落ちた物を拾うのを手伝った。

同じ方向に家があるというので、荷物を少し持ってあげ、
おしゃべりしながら一緒に帰った。

自己紹介によると、少年の名前はビル。

TVゲームと野球が大好きで、歴史以外の科目は苦手だという。

そして、ガールフレンドと別れたばかりだと話した。

ビルの家に着くと、マークはコーラを飲んでいかないかと誘われた。

2人は午後の時間をTVを見たり、笑ったり、おしゃべりして楽しく過ごした。

それからは、学校でもしばしば顔を合わせるようになり、昼食を共にする事もあった。

結局、同じ高校に進学し、そんな着かず離れずの付き合いは、ずっと続いた。

高校の卒業を3週間後に控えたある日、ビルがマークの家にやって来て、
彼らの最初の出会いを懐かしそうに話し出した。

「マーク、あの日、なぜ僕があんなにたくさんの物を持ち歩いていたかわかるかい?

学校のロッカーから中身を全部、持って帰ろうとしていたんだよ。

僕の物を残したままにしたら、次に使う子が嫌な思いをするだろうと思ってさ。

実はあの頃、母さんは睡眠薬を飲んでいてね、
僕は少しずつこっそり溜めていたんだよ。

君に初めて会ったあの日、家に着いたら、それを飲んで自殺するつもりだった。

でも、君に出会って、そのまま一緒におしゃべりしたり、笑ったりしたよね。

君が帰った後に、もしあのまま自殺していたら、君との楽しい時間も持てなかったし、
これから起きるたくさんの素晴らしい事を経験する事なく、
死んでしまう事になると思ったんだ。

これでわかっただろう?

マーク、君は僕の荷物を拾ったとしか思ってなかっただろうけど、
あの日、僕の命も拾ってくれていたんだよ」

/「心のチキンスープ(ダイヤモンド社刊)」より

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