2003 年 3 月 28 日 のアーカイブ

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卒業生Kさんへ

2003 年 3 月 28 日

人には、必ず長所があって短所がある。どんな人にでも、である。人に好かれたり、

仕事をいつも成功させたりする人が、長所だらけの人で、短所のない人であったと

いう話は聞いた事がない。なかなか仕事がうまくいかない営業マンがいた。約束した

時間に遅れては苦情をもらい、色違いの商品を納品しては叱られ、滞納された集金の

回収が遅れては、悩んでいた。何をやってもダメな自分だ。営業などは自分には向い

ていない。元々は、人と関わる事が大好きだったのに。なぜ、こんな事になってしまう

のだろう。彼は、人の役に立ちたいという気持ちが、人一倍強かった。人に迷惑をかけ

たくないという気持ちが強かった。冷静に考えれば、あり得ない話なのであるが、彼は

その優しさゆえに、迷惑の山を築き上げていく。営業をやっていれば、時間に遅れる

事も、約束と違う商品を納品してしまう事も、買掛金の滞納をする顧客を担当する事

もありがちな事である。しかし、彼の場合「申し訳なくて、時間に遅れるという連絡を

する事ができない」「申し訳なくて、色違いの変更を業者に申し出る事ができない」

「申し訳なくて、集金に出向けない」のだ。結局、全てが後手に回る。色んな失敗を

しでかす彼だが、失敗の原因はいつも同じ。「申し訳なくて」後手に回る事である。

さて、「申し訳ない」と思う彼の情動は、彼の短所なのだろうか? 必ずしも、そう

とは言えない。「申し訳なく」思う彼の情動は、時として、困った人を手伝う親切に

現れたり、多少の体調の悪さを押して、出勤したりするところにも現れる。長所と

短所は、常にコインの裏表である。一人一人がもつ持ち味は、仕事の失敗や人間

関係のまずさとして現れると、短所と言われる。仕事の成功や人間関係の良さと

して現れると、長所と言われる。長所短所は、その人の持ち味を直接言うものでは

なく、結果がそれを、長所短所と言わせているのである。仕事がなかなかうまくいか

ない彼と、毎週末に会う約束をした。1時間のミーティングで、向こう1週間の仕事の

確認をした。毎週、繰り返した。向こう1週間の確認事項は、全てその場で、相手先

に電話をかけて済ませた。彼の所にかかってくる煩雑な電話は、ほとんどなくなった。

彼は自信を取り戻していった。彼の短所は、影をひそめた。長所伸展法なるものが、

ずいぶん流行った頃もあったが、短所を見つめる事にも、なかなか味わい深いものが

ある。自分の短所を発見するのは、簡単である。過去の失敗のいくつかを思い出して

みる。おもしろいもので、必ず自分らしい共通点が発見できる。その共通点が、あなた

の短所である。憎く思う必要はない。短所も、素晴らしいあなたの持ち味のうちである。

持ち味を消してしまう前に、コインの裏側も眺めてみよう。立派な長所が見えてくる。

目を閉じて、仕事を失敗した時の事を、リアルに思い出してみよう。仕事を失敗した

時の、あの気持ちになってみよう。失敗した時に、必ず訪れる「あの気持ち」。それは

罪悪感か、自己嫌悪か、怒りか、悲嘆か、それとも逃げ出したくなる気持ちか?

不思議と「あの気持ち」はいつも同じである。一人一人「あの気持ち」は違う。

それは、失敗した時に起こる心の癖のようなもの。そして、その気持ちが、冷静に

改善を促す事を阻んでいる。やらなければならないのは、仕事の習慣の改善である。

性格の変容ではない。一人でできないと思ったら、人の力を借りてみよう。仕事の

習慣が変われば、その日から、あなたのキャリアの方向は上に向く。

/山本 正樹(経営コンサルタント・株式会社 理想経営代表)

♪今日のお初♪ 渋谷・幸楽苑のしそ入り野菜餃子(180円)&醤油ラーメン(390円)←昭和29年創業当時の味なんだとか

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