2005 年 3 月 8 日 のアーカイブ

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お膝送り

2005 年 3 月 8 日

東京芸術劇場(池袋)小ホールで行われている「第12回 五輪の笑」を見に行った。
この公演は文化庁芸術団体人材育成支援事業、及び社団法人落語芸術協会の
支援を受けて開催する、若手落語家4人の根多出し競演落語会なんだそうな。
本日の出し物は、

前座 開口一番(桂 夏丸)
1. 初天神(春風亭 柳之助)
2. 粗忽の使者(三遊亭 遊馬)
   ~お仲入り~
3. 宮戸川(桂 米福)
4. 黄金餅(三遊亭 春馬)

寄席のお囃子が好きなんだよね。楽屋から出て来て、座布団に座るまでの間合い。
とはいえ、生の落語を聞いたのは、これが初めて。全席自由席だったんで、前から
3列目をGet! 噺家の表情や汗まで見える特等席。いつも思うのだが、人を泣か
せる事の方がずーっとカンタンだ。これはある種、万国共通だもん。笑いには
国民性や世代、知識階級、文化的背景等の違いもあり、千差万別だ。噺家や漫才、
コメディアンetc. 人を笑わせる仕事というのは本当に大変だよね。

自分がレクチャーをするとよーくわかるんだけど、観客の笑いが出るとホッとする
んだよ。即、場が和むでしょ。その反対に何が怖いって、無反応だね。その後で
「素晴らしかったです」とホメられても、ホンマかいなって疑いたくなる。自分が
ここで笑いを取れると思ったところは、意外にハズしたりするんだよね。そして、
本人も考えていなかったような場面で大ウケだったり。同じネタでもホントわから
ないもんなんだよ。これはもう出たトコ勝負だな。

名人の落語には、独特の間がある。これが、その人の持ち味だ。ところが、若手に
なると力みが目立ち、ついつい早口になって、焦ってる感じがこちらまで伝わって
くる。つまり余裕がないんだよね。すっごくわかるよ! でも、これだけは場数を
踏むしかない。師匠より何より、お客さんに鍛えられるんだから。そして1つ1つ
貴重な経験を積んでいく。

途中から席がだんだん混んできて、立ち見のお客さんが出た。春風亭柳之助が座った
途端、「寄席では立ち見のお客さんが出て、お席を詰めて頂く事を“お膝送り”と
申しまして、大変縁起がよろしいんですよ。前にお座りの方は、お荷物をちょっと
どかせて頂きまして、ハイハイ、どうもありがとうございます。ササッ、お立ち見の
方は前の方へお進み下さい。本来、こういう仕事は前座がやるんでございますよ。
今回の前座は、まだ経験不足でございまして。あい、すみません」

そっか、前座にはこういう役割もあるのか。よく見ていると、前座は演目が終わっ
た後、自分で座布団を引っくり返すが、先輩達はそのまんま。この座布団を引っ
くり返しに行くのが、前座の仕事なのだ。厳しい上下関係があるんだなぁ。後で
前座が慌てて、お膝送りのお願いをしていた。いい勉強になったよね。ここで
教えてもらえなかったら、ずっとわからないままだもんね。やはり、先輩は有り
難いよ。それにしても、お膝送りって粋な言葉じゃないか、ねぇ、お前さん(笑)
寄席には桟敷席があるそうな。今度、行ってみよう♪
20050308

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