2002 年 7 月 10 日 のアーカイブ

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台風

2002 年 7 月 10 日

太極拳から帰る時、おじさんに声をかけられた。よくよく話を聞くと、ビジネスホテルに行きたいらしい。

おじさんが持っていた地図を見て、私も買い物があるので、近くまでご一緒しましょうと、雨の中、2人で

歩き始めた。おじさんは新幹線で、岐阜から東京まで来たが、台風の影響で5時間以上かかったらしい。

日帰りの出張予定だったが、この天気なので、今日は東京に泊まって、明日の朝、新幹線で帰ると言う。

傘を差しながら、暗い夜道を歩き、歩道橋を超え、でもほんの10分くらいで、目指すビジネスホテルに着く

・・・ハズだった。だが、しかし、目の前に現れたのは、全く別のビジネスホテルだった(号泣)。私の

お得意ワザ:激しい思い込みによる、大きなカン違いだぁ! 一瞬、頭の中が真っ白になり、クラクラと

顔面蒼白。後にめまいすら覚えたが、このおじさんを一人、ここで放り出す訳にはいかない。最後まで

ちゃんと面倒見なきゃ。そう、私は都会人(笑)。今までの全記憶&知識をフル回転させ、もう一度、

地図を真剣に眺めながら、余裕をかますフリをする。頭を使え、思い出せ、未空。確か、この近くでスペ

イン料理を食べたよな。そうだ。あそこにマチガイない! 何としても、この岐阜県人を無事、ビジネス

ホテルまで送り届けるのだ。雨足はどんどん強くなり、おじさんの顔には、不安と疲労が見え隠れする。

広い東京のド真ん中で、今は私だけが頼りなのよ。まずは、この不安を和らげてあげよう。「ここが京王

百貨店で、成田空港に向かうバス乗り場もあるんですよ」「へぇぇぇ~。こんな所から出てるんですか?」。

そうそう、その調子♪ 信号を渡り、目的地が近くなってきた。あったーーー! やっぱココだったんだぁ!

ホテルの看板を見た瞬間、私の目には熱いものがこみ上げてきた。すると「見えました!」というおじさん

のうれしそうな安堵の声。早速、早足でホテルの中に入り、フロントの前までお連れする。ホッ。「東京の

人は、本当に親切だ。わざわざすみませんでしたね。どうもありがとうございました」とおじさんが、深々と

頭を下げた。「いえいえ、良かったですね。気をつけてお帰り下さいね」とニッコリ微笑む私。さぁ、これで

安心して買い物に行けるな。ついでに、ヨドバシにも寄ってみるか。良かった良かった。めでたしめでたし。

♪今日のいいコト♪ 外は大雨でも、気持ちは快晴。方向音痴・・・いや方向痴呆の私でも、お役に立ててうれしかったな(笑)

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